フリーランスへの幻想と現実

2021/04/10

フリーランスへの幻想と現実

最近「フリーランス最高」のようなニュースなどの特集を見ていて、強い違和感を感じる。

確かに、フリーランスは自分の判断で働くことができるという意味では自由かもしれない。

就労規則もないので、決められた時間に出社したりする必要もないし、いくつ仕事を並行してやろうが自由だ。

「フリーランスは自由だ〜、最高!!」って思いたくなる気持ちも分かる。

それにテレビに出てくるフリーランスの人はキラキラしていて、自由で人生を楽しんでいそうな人ばかりだ。

現在発信されている情報は正しいし、そういう人がいるのも事実だろう。しかしこれは、意図的にポジティブな面にだけスポットライトを当てているからに過ぎない。

ということで、フリーランスを経験した私なりのフリーランスについての経験と見解を皆さんにお届けする。

フリーランスは自由か

フリーランスは何時に起きるか

「フリーランスは就労時間などに縛られず自由」という話を聞くがこれは実際に半分は正解だと思う。

実際に私は、プログラミングなどでテンションが上がって朝まで起きていて、日の出のタイミングで寝て、昼過ぎてに起きるなんてこともよくあった。寒い朝が圧倒的に苦手な私としてはこんなことができるのは最高だし、テンションが上がって集中力MAXの時に、翌日の出社のことを考えてやむ終えず作業を中断するなんてこともない。逆に夏場は、クーラーを使わない私の部屋は酷暑で体力を使い切ってしまうので、21時就寝の4時起床で涼しい時間に仕事をするなんてこともできた。このようなことを考えると、確かに就労時間に縛られない自由な働き方なのかもしれない。しかし、完全に自由ではない。取引先の会社には就労時間があり、それに合わせて打ち合わせや連絡を取らないといけない。社会全体が9時ー17時という一般的な就労時間をベースに動いているため、完全にそこから独立はできない。また、ウーバーイーツの配達員などをやるにしても、注文が入りやすい時間帯になるべく稼働しないと効率よく稼ぐことはできなくなる。そう考えると、社会の動きに合わせた自分なりのルーティーンが出来上がってくる。好きな時間に寝て、好きな時間に起きて働くということももちろん不可能ではないだろうが、一般的には難しいと思う。しかし、融通が圧倒意的に効きやすいのは事実である。

曜日感覚がなくなる

これまではフリーランスの1日に就労時間的なことを書きましたが、ここからは1週間単位で考えてみます。フリーランスで働いていると、月曜日から金曜日なんて就労日も決まっていないので曜日なんてものがどうでも良くなってきます。前項でも書いたように、外部とのやりとりがあるためもちろん平日という感覚はありますが、土日も関係なく仕事をしてることが多いので、「キンタマキラキラ金曜日、明日は休みだ〜!」なんて気分にはなりません。むしろ、土日の方が取引会社から連絡とかがないので集中して作業に取り組めるのでやる気を出すくらいな感じです。

その代わり、平日も自分でうまく調整して休めるので、買い物やお出かけなどを空いているタイミングでできるのは嬉しいですね。Amazon primeセールにリアルタイム参加できるのはありがたかったです。

フリーランスは儲かるか

フリーランスが儲かるかと聞かれれば本人次第です。人脈と能力が高い人は稼げると思いますが、それがない人が稼ぐのはかなり大変だと思います。人脈があれば仕事を直接回してもらったり紹介してもらうことができるのでまず仕事に困ることは無くなるでしょう。そして能力があればより高付加価値の仕事ができるので稼ぐことができます。

フリーランスでまず大変なことが仕事をとって来ること、つまり営業です。どんなに能力があっても仕事がなければ稼げないので、とりあえず営業です。しかし、個人が突然営業をかけても仕事なんてそう簡単に受注できるものではありません。そうなると、ランサーズなどの仕事の仲介サイトや知り合いから紹介してもうことになります。私の場合は、独立する前の会社が仕事を回してくれたので営業などはせずに、その仕事だけで食い繋いでいました。

また能力がなければ、結局は単純作業などをやることになってしまうので、単価が上がらずそこまで稼げないものです。

最後にフリーランスの収入を考える際に重要になってくるのが、フリーランスになったことによる支出の増加です。フリーランスになることで、生活で使っている支出の一部を経費とすることができます。ネット回線やスマホ、書籍の購入や電車賃、家賃や光熱費の一部は経費にできるので利益を減らしつつ、生活費を抑えることができます。しかし、それ以外にも会社員時代は会社が勝手に行ってくれていた年金や社会保険、住民税などを自分で支払わないといけません。会社に所属していると会社が負担してくれる部分もありますし、そう言った費用を差し引いて給与が振り込まれるため支払っている感覚がない人も多いと思います。しかし、フリーランスになるとこれらを自分で支払わないといけません。また、フリーランスの場合収入に応じて納税の義務もあります。仕事をして振り込まれた金額が会社員時代より少し増えてくらいでは、年間を通しては会社員時代の手取りよりも少なくなってしまいます。将来的に貰える年金(現在の若い世代は貰えない可能性もある)も会社員よりも少なくなってしまいます。

そこまで計算して、自分がいくら稼げば会社員時代より儲かっていると言えるのかはよく考える必要があります。

私の場合、7年近く予防接種以外では病院に行っていませんが社会保険料もしっかり払っていました。

リスクを考えたか

ここからはフリーランスのもっとネガティブな面も考えていきましょう。

まず、就労規則などがないため36協定のような働き過ぎを防止する安全装置がありません。

会社員なら会社都合で退職すれば、失業保険がおりますがフリーランスは仕事が突然無くなっても保険がありません。

また、2020年に発生した新型コロナウイルスのような景気に大きな打撃を与える事態が起きても、会社に比べて政府からの補償もかなり小さいです。不景気で仕事が無くなってもどうしようもないのです。

また、労災などもないと思いますし、自分が傷病で働けなくなっても、サポートがありません。

自分で保険などに入ってリスクヘッジしておく必要がありますが、単純に保険料の出費もあります。

将来的に退職金もありませんし、年金の額も低いです。

こんなことを考えていると気持ちが重くなってきました。

後ろ盾をなくしたあなたに力はあるか

会社員の最大の強みは、自分の後ろに会社という巨大な後ろ盾があることです。自己紹介をするときに、株式会社〇〇の〜です」というように話すことが多いと思う。これは、自分の身元を会社が保証しているということなのだ。フリーランスになるとこれが使えなくなる。同じ能力でフリーランスと会社に所属している人が同じ額の見積もりを出したら会社に所属している人の方が発注率は高くなるはずである。このことを忘れて「会社でうまく行っていたから、1人でもやっていける」と勘違いすると、痛い目を見る。会社という後ろ盾を失えば、個人のブランド力で勝負しなければならない。その業界で個人の名前で有名になればいいが、最初は仕事を取るのも一苦労になるだろう。それくらい、会社という後ろ盾は大きい。私自身、初めて会う人と話をするときに、フリーランスの時よりも会社を設立してからの方がウケが良くなったと思う。会社といっても、1人社長なのでフリーランスと実質変わらないが、それでも会社という後ろ盾は強力なのだ。

フリーランスに向いているのは、自己管理能力と能力がある人

ここまで私なりのフリーランスに関する見解を書いてきた。

私の見解でフリーランスに向いている人は、自己管理能力と仕事に役立つ能力のある人だと思います。いくら資格や能力があっても自己管理ができないとフリーランスはできない。フリーランスは自己決定ができることが多いという意味で自由だが、それと同時にみ自らを律することができなければ仕事ができない。私もフリーランスとして活動する中で朝まで作業していた時を除き4時くらいまでに寝た時はどんなに眠くても朝9時には仕事机に向かっていると決めていた。自由だからこそ自らを律するルールを決めて、それを守らないと際限なくダラダラしてしまう。

また、自己管理ができたとしても仕事に役立つ能力がなければ、そもそも稼げない。

また、上記とは別にフリーランスに向いている人がいるとすれば、社会適応能力が低い人だろう。会社という組織で働くのが苦手な人は一定数いると思う。かくいう私も社会適応能力が低かったためにフリーランスになった。この場合は、儲かるとか自由とかよりもやむなくフリーランスになる人もいるので、それはそれでしょうがない。

結論

現状では、フリーランスになることで利益を享受する人よりも、不利益を被る人の方が多いだろう。

そんな状況下でも、メディアを中心に「フリーランスめっちゃいい」みたいな情報がたくさん出ていて、その情報に踊らされている人は一定数以上いると思う。

フリーランスにはもちろんメリットもあるが、そのメリットを享受するためにはそれなりのリスクテイクや自己資源の投入をしなければならない。

その覚悟がある人にはぜひフリーランスを一度経験して頂きたい。